2008年12月25日木曜日

Web上で1円を決済させる方法

おいら今更ながらウェブ進化論 を読んだんですが、読みながら「そういえば、まだ人々から1円づつ徴収するようなビジネスモデルって出てきてないなぁ。ウェブ進化論っていつ書かれた本だっけ? 景気悪化から広告費が削られるのは目に見えてるんだから、まさに今必要なのに。たとえば、1円決済モデルを行うメソッドさえ実現できるなら、おいらのようなフリーランサーが自分で食べるのに困らないぐらい稼ぐことは簡単だと思えるのに」と思っていた。

てなところで、定額決済の話題がホットになってきたので便乗してみる。

前提

「失敗して当たり前」な有料Webサービスの条件 - インターネットください

「サイト存続のため、アバター買って」 カフェスタが異例の呼び掛け - ITmedia News

「タダが当たり前」の時代は終わる? カフェスタが「お金払って」と呼び掛けた理由 (1/2) - ITmedia News

有料ネットサービスが成功しないたったひとつの理由 - いつか作ります - 断片部

コンテンツで収入を得ていける仕組みをみんなで考えよう - novtan別館

有料サービスが抱える課題 − 少額決済について - この先、しばらく道なりです

ポイント購入制が有力かも!?

有料サービスが抱える課題にある通り「ポイント購入制」が現実解に思える。

コメント欄にある通り、Value-Domain なんかは昔からクレジットカードでサイト内ポイントを購入して、そこから少額決済(といっても数百円単位)してるし。表から見る分には良いモデルだと思う。(飼い囲み的に)

でもValue-Domainはあくまで「ドメイン屋さん」で、よっぽどじゃないと少額決済を広めようという気は起きないと思う。(し実際ムリだと思う)

それに、今から使用額決済システムを作って、市場に受け入れられるかは不明だよね。APIどうすんの?の他にも、そもそも信用問題とかとか。

こんなのどうかな?

で、自分が思うに、OpenIDと絡むのが「少額決済」的にも「OpenIDの発展」的にもいいと思う。

おいらgemspec.infoを作ったときにOpenIDの事をそれなりに調べたんだけど、あれって認証したときにユーザ情報を一緒に渡すことが出来て、かつその付加情報って拡張可能だった気がする。(や、深く調べてないからわかんないんだけど)

要は、OpenIDプロバイダがやる気になって独自拡張すれば、グローバルなIDに紐づけられた決済手段として使えると思うんだよね。

ちなみに、

  • 日本の企業で
  • 有名で
  • 既にユーザが多く
  • かなりの割合の人が既に決済手段を登録済みであり(←超重要)
  • クレジットカード会社側もある程度の少額決済を容認しており
  • もちろんOpenIDプロバイダとして稼働していて
  • 決済手段を登録しているが故に、IDの身元確認もしっかりしている(と期待されている)

という意味で、Yahoo! JAPANがOpenIDを使った決済機能提供元の最有力候補に思えるんだけど。

で、以下はヤフオクユーザを対象に考えていくことにする。

OpenIDを使った決済の流れ(脳内)

あらかじめ設定しておくこと

ヤフオクユーザである時点で決済手段は登録済みなので、後は・・・

  1. 自分のOpenIDを発行する
  2. 自分のOpenIDを使って決済を行うことを許可しておく。この際、デフォルト決済手段も指定しておく。

の2点だけ設定しておく必要がある。

少額を何回も決済されることを、カード会社が嫌うなら(普通嫌だよね)、そこにポイント制を導入しなければならないと思うので、先にポイント購入しておき、自動チャージの設定などもしておくのが理想なんだろうな。

外部サイトで決済するときの流れ

  1. 外部サイトで「決済金額」と「Yahoo! JAPANが発行した自分のOpenID」を入力して決済ボタンをクリック。(ただし、ログイン済み状態ならOpenIDの入力は必要ない)
  2. 外部サイトのシステムがOpenIDをパースし、決済情報と一緒にエントリポイント(Yahoo! JAPAN)へのリダイレクトを行う。もちろんSSLを使う。
  3. Yahoo! JAPANのOpenIDログイン画面が表示されるので、ログインする。(ログイン済みであれば省略)
  4. Yahoo! JAPAN上で決済金額と支払先(外部サイト名)が示され、Yahooに登録済みの決済方法のうち、どれから支払うかを選択する。(確認無しに決済を行う設定になっていれば省略)
  5. Yahoo! JAPAN上での決済が無事完了すれば、外部サイトに再度リダイレクトされる。この際、決済を特定できる決済IDも一緒に渡す
  6. 外部サイト側で、決済IDを保存して完了。または決済できていなければエラー処理を行う。
  7. 決済IDを使って決済状況などを確認することが出来る(ユーザ、外部サイト共に)

2のリダイレクト時に、外部サイト側を確認するため、なんらかの認証手続き(RSA認証とか)を使っておくと良いんじゃないかな。

ちなみに、外部サイトで販売するものは、「物理的な商品」でも良いし、「情報」でも良いし、「一定期間のサービス使用権」でもいいと思う。

整理すると

  • ユーザは(設定と認証状況にも寄るが)、金額を確認して決済ボタンを押すだけ(最短1クリック)で決済完了できる可能性がある。
  • この時の条件は、「外部サイトにOpenIDを使ってログイン済みで、Yahoo!JAPANにもログイン済みで、Yahoo!JAPANにOpenID経由で決済リクエストがあったときのデフォルト決済手段が登録済みであり、決済リクエストがあったときに確認無しで決済を通すように設定されていること」の4点。
  • 外部サイト側で対応すべき事は、OpenIDを使ったログイン処理+αぐらいの処理であり、全然楽。ユーザのパスワードもクレジットカードのナンバーも(手に入らないので)気にすることはない。あー、決済可能なOpenIDプロバイダをホワイトリストでフィルタリングする必要はあるかな。
  • 一方、Yahoo! JAPAN側は、規格の策定から関係団体への折衝からカード会社への説明からAPI公開から保守まで対応する必要があり、結構というか相当大変だとは思うけど、実現できたら「一人勝ち」状態でしょうね。

OpenIDなら、1つのYahoo! IDから「決済画面に進めるOpenID」と「決済できないOpenID」を用途によって使い分けることが出来るしね。(今のYahoo! JAPANの仕組みじゃ出来ないんだろうけど)

OpenID側のメリット

OpenID対応サイトを作ってみて分かったんだけど、今のOpenID界って結構混沌としてて、「あっちのOpenIDプロバイダだとコレができるけどアレができない」「こっちは日本語使えない」とか、OpenID対応サイトもホワイトリスト的に利用可能なOpenIDプロバイダを絞ってるので、結局あちこちのOpenIDプロバイダにIDを2・3個登録して、OpenID対応サイトも複数のOpenIDを登録しちゃうことになってしまう。

同じサイトなのに、別のOpenIDでログインしちゃって、「あれー? おいらのデータはドコいった?」とかね。(実話)

でも、これって当初のOpenIDの目的に反してる。ぜんぜん便利じゃない。便利じゃないからOpenID対応サイトも増えない。

イクナイ。

で、Yahoo! JAPANが少額決済メソッドの実装できたらどうなるか?

  1. 少なくとも日本のECサイトでは「Yahoo! JAPANのOpenIDを使った決済方法」に対応するところが次々に出てくる。(Webマネーに次々に対応したように)
  2. 普通のWebサービスでも「Yahoo! JAPANのOpenIDを使った決済方法」に対応するところが現れる。
  3. いったん「普通のWebサービス」で受け入れられると、決済手法として爆発的に普及する。(だって利用料取りたいもんねぇ)
  4. 「Yahoo! JAPANのOpenIDを使った決済方法」がデファクトスタンダードとなる。
  5. 決済機能に支えられてYahoo! JAPAN発行のOpenID利用者が増える
  6. ユーザシェア拡大に伴い、数多のOpenID対応サイトではYahoo! JAPANのOpenIDをホワイトリストに追加しなければならなくなるので、ユーザはとりあえずYahoo! JAPANのOpenIDを取得し、使うようになる。
  7. Yahoo! JAPAN発行のOpenIDがデファクトスタンダードとなる。

てな具合に、Yahoo! JAPANの商売的にも、OpenIDの普及のためにも、ECサイト運営者にも(決済方法の拡充と集約)、Webサービス運営者にも(広告モデルからの脱却)、ユーザの利便性(OpenIDと少額決済)向上のためにも、みんなにすんごいメリットがある気がする。

こうなったら、おいらも他のOpenID捨ててYahoo!一本に絞るね。

Yahoo! JAPANさん、がんばってくださいよー。

でもマテよ?

あれー?

なんかうまく行きそうじゃねー?

おっかしーなー、なんで今まで生まれてこなかったんだ? どっかに穴があるな、こりゃ。

ツッコミ求む!!

12/26更新

はてブやコメントで指摘いただいたので補足。

「日本では銀行以外が送金業務を行うことは違法」については、これが送金業務に当たるかどうか微妙だけれど、2005年初頭にYahooがあおぞら銀行を傘下におさめて、銀行業務に参入してたみたいなんで、これの流れがあるのかなぁとか。

「オークションを使ってない(相当数の)人たちは使えない」と言うのは視点が違う気がします。全ての人がアカウントを持っている銀行なりクレジットカード会社なんて存在しないので、どんな方法にせよ、新規に「クレジットカードなり銀行引き落としにつなげるための登録」をする必要があるんでしょうけど、ヤフオクを使える人(Yahoo! JAPANプレミアム会員)なら新たに登録しなくてもそのまま使えるよ、って話です。Yahoo! JAPANプレミアム会員ではない人は、新たに会員登録すればいい話なので、マイナス位置じゃなくてゼロ位置ですよね。

「クレジットカードなり銀行引き落としにつなげるための登録」って、ユーザにとってすごく障壁が高い行動なので、(簡単な設定ぐらいで)何もしなくてもそのまま使えちゃうユーザ(Yahoo! JAPANプレミアム会員)が居るのって、超重要だと思うのです。

「決済手数料の問題」については、運営元の判断(直接マネタイズするのか、他社より優位に立てればそれで良しとするか)に寄るんでしょうけど、「ヤフオクはやらなくても、少額決済には使いたい」って人もプレミアム会員に流れるでしょうから、新規に増加する会員の月額利用料(346円)分は売り上げがあがるんじゃないかな。

現実問題として、決済手数料無しで使わせるのは難しいんだろうけど、ポイント制で行くならそんなにバカみたいに高いシステム構築費にはならないと思うから、その分手数料を安くできるだろうし、極端な話手数料が安ければ、定額制にしてプレミアム会員に負担させるとかって話でもいい気がする。外部サイトなどに手数料を負担させることが結局支払い価格に乗ってくることを伝えれば、理解も得られるんじゃないかな。あと、Yahooから外部サイトへの支払いも、「末締め翌月末払いで1万円単位」ぐらいで縛って、ここから数パーセントのマージン取れるんじゃないかなぁ。

・・・でもなんか、もっと現場寄りの泥臭い話が根幹にある気もする。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

問題は、ポイントを現金に換金する方法ですよ。現金に換金できなければポイント販売元が1人で潤うだけです。日本では銀行以外が送金業務を行うことは違法らしいので、どうやって銀行の重い腰を上げるか、ということが一番の肝になっているんじゃないかと思います。

まいむぞう さんのコメント...

あら、そうなんですか。そこがネックになるとは盲点でした。
ちょっとググってみたんですが、2005年初頭にYahooがあおぞら銀行を傘下におさめて、銀行業務に参入してたんですね。今はどうなったんでしょう?
まだやってるのかな?